ACCESS イメージ

alto BLOG
アルトブログ

2019.08.30

トレーナー活動 ~熱中症対策~

こんにちは。

はり・きゅう・マッサージ治療院altoの加賀谷です。

8/5~8/9に行われました横浜国立大学男子ラクロス部の合宿に8/7から帯同してきました。

今年も山中湖で行われ、5日間とも30℃を越える猛暑の中、選手たちは練習や試合に励んでいました。
トレーナー活動としては、主に練習や試合前のテーピングやウォーミングアップ、プレー中の応急処置、練習や試合後のケア、トレーニング指導などを行いました。



 

ラクロスは試合時間15分×4Qで縦が約100m、横が約50mのフィールドで行われます。クロスという長い棒を用いてボールを運び、相手ゴールにボールを入れた数を競うスポーツです。

フィールドを縦横無尽に駆け回る為、ひとりひとりの運動量は多く、ボールを拾う際や相手と対峙する際には激しいコンタクトも伴う大変過酷な競技です。

そのため練習や試合では、捻挫や肉離れ、靭帯損傷や骨折などの急性期のケガから、シンスプリントや腰痛といった慢性的なケガまで発生します。また、相手との接触や高速で放たれるボールの直撃などにより脳震盪が起こることもあります。

 ※合宿中の選手のケア(マッサージや鍼)


さらに、この時期には熱中症も頻発します。

熱中症は、一度発症してしまうとその日満足にプレーすることは出来なくなるどころか翌日にまで影響を及ぼすことも多い為、いかに予防出来るかが大切です。

8月に開幕したリーグ戦では大会運営側からWBGTという基準をもとにした試合中止や延期の判断が行われ、その危険度が周知されてきているように感じます。

【WBGTとは】

暑さ寒さに関係する環境因子として挙げられる「気温」「湿度」「輻射熱」「気流」の全てを用いた指標。具体的には、湿球温度(湿度)、黒球温度(輻射熱)、乾球温度(気温)の3項目から算出されるが、湿球温度と黒球温度には気流の影響も反映されるので4因子全てを反映した指標といえる。

※日本スポーツ協会 HP引用

 

合宿においても、事前の啓蒙活動から合宿中の対策まで徹底して行いました。

その甲斐あってか、猛暑環境下においても熱中症を一人も出さずに合宿を終えることが出来ましたので日頃スポーツをされてる方や大会で試合が続く方、お仕事で一日中外に居られる方などは是非参考にしてみてください。

 

 

【具体的な対策】
(1) 体温の上昇を最小限に抑える

→高温環境下での運動は、体温を著しく上昇させます。身体は恒温機能を持ち合わせているため様々な手段を使って上がり過ぎた体温を下げようと働きます。その代表的な機能が発汗です。発汗機能に頼ることも良いですが、そもそも体温が上がり過ぎなければ身体から水分が損失されることもないため、身体の外から体温を下げるようアプローチするのが効果的です。

合宿中行ったことは、練習や試合中、それらの合間に主に首や手足に冷水をかけたり、氷を当てたりすることです。首・わきの下・鼠径部には近くに大きな血管が通っていることから熱中症が発生した際の対処としてそれらを冷やすと良いとされていますが、最近の研究でそれらを冷やすよりも手足を冷やす方が身体の冷却効果があったとされる報告があり、私たちは手足を冷やすことも行っていました。スポーツをされている方ですと手足の感覚を大切にされることから手足が濡れることを嫌うこともありますが、効果が高いので気にされない方は実践してみてはいかがでしょうか。


(2) 15~20分毎に150~300mlの給水

→体温が著しく上昇すると、身体の各種機能が低下し、スポーツパフォーマンスに悪影響を及ぼします。それらを防ぐために身体は、発汗という機能で体内の熱を放出し体温を調節します。しかし、体内の水分が通常より少ない状態や深刻化した脱水状態では効率よく発汗が行われないため体温がどんどん上昇していってしまいます。

身体には、約60~70%の水分が存在しており、通常、少なくなると口渇中枢が反応し、喉の渇きとして知らせてくれます。ですが、高温環境下では、身体機能の低下により口渇中枢からの指令は当てになりません。
そのため、喉が渇いたと感じてからでは既に遅いことが多く、運動中の脱水状態を防ぐためには15~20分毎に150~300mlの水分補給をすると良いとされています。

(3) 5,6月くらいから暑熱馴化させる

→暑熱馴化とは、暑さに対して、身体が適応していくことを指します。具体的には、運動中の心拍数、体温、汗中塩(塩化ナトリウム)が減少し、逆に汗腺の発汗能力が高まって、汗の量が増加します。これにより熱中症などのリスク、暑さによるパフォーマンスの低下を抑えることができると言われています。また初夏の頃など、急に暑くなる時期に熱中症にかかる人が多く出るのは、この暑熱馴化がまだできていないためとも言われています。大学ラクロスのシーズンは8月の暑い時期から始まるため、熱中症はもちろんパフォーマンスの低下を防ぐためにも5,6月頃の最も気温が上がる時間帯に練習を行うという対策を行ってきました。

(4) 体重測定

→練習の前後もしくは試合の前後に体重を測定し、減少率を計算しました。

 

水分の減少率に伴う症状として・・・

2%の減少⇒喉の渇き

3%の減少⇒強い喉の渇き、ぼんやりする、食欲不振

4%の減少⇒皮膚の紅潮、イライラ、体温上昇、疲労困憊、尿量の減少と濃縮

5%の減少⇒頭痛、熱にうだる感じ

8~10%の減少⇒身体動揺、痙攣

20%以上の減少⇒無尿、死亡

 

体重50kgの人ですと、3%は1.5kg、5%は2.5kg減少することとなります。練習や試合で、カロリー消費による多少の減少は見られますが50kgの人が1.5kg分のカロリーを消費させるにはランニングですと約210kmをも走らないといけない計算になる為、水分の損失によるものが主だと考えるのが妥当です。合宿では、減少率を2%に留めるよう運動中の水分摂取を促し、毎日体重測定を行いました。そして、その日の減少分は次の日の朝の測定時にまで元の体重に戻すよう喉の渇きがなくとも運動中以外も積極的に摂取するよう徹底してもらいました。



8月よりリーグ戦が始まっており、横浜国立大学男子ラクロス部の現在の戦績は
8/22vs獨協大学  4-7負け
9/4 vs東京理科大学 10-4勝ち
となっております。
一部昇格のための入替戦に進むには、もう一戦も負けられない状況です。
私も選手たちがベストパフォーマンスを発揮することが出来るよう引き続き全力でサポートしていきたいと思っております。
応援のほど、よろしくお願い致します。

《今後の試合日程》
9/14 vs明治学院大学
10/6 vs東京農業大学
10/13 vs神奈川大学